砂金採り/ただのみきや
眩暈と共に溶け出してゆく人生
掌には四月の切れ端
黄金の週は鉛色の空の下
薄紅の花びらが前を横切って行く
時間は夜から型崩れを起こし
意識はカタツムリのよう
低く低く底を這っていた
まだオムツをした幼子が
がに股で砂場を歩く
小さなシャベルが
わたしの脳をかきまわす
悲哀は乾き切り
即身仏のようにどこかに仕舞われたまま
無価値なものほど支配的だ
理屈を燻す線香
香りも煙もただ去って
言葉の灰が残っている
市場へ向かう
犬の前脚に咬み付いた
感情を堕胎する
自分の体液をソースにして
他人の書いたものを食べている
さもゲテモノと顔をしかめな
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