交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
 
まったみたいな思いつきだった―テーブルの上には懐かしい通信機器…トランシーバーというやつがひとつだけ置いてあった、ということは、もうひとつはどこかにあり、向こうで呼びかければこちらで応答出来るということだった、もちろん、その逆もしかりだ、でも、それはあまりにも古びていて、例えば電池を入れ替えたとしてもまともに受信や発信が出来るとは到底思えなかった、何度も落としたみたいに、艶のない黒い塗料はあちこちが剥げていた、戦場で拾ってきたみたいなダメージだった、それなのに僕は、じっと待っていればそいつが喋り出すような気がして仕方がなかった、それに、ここに居る理由について考え付くものは現状それしかなかった、だか
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