交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
だから僕は、そいつが喋り出すのをずっと待っていた―最初に時計を見たのは午後の三時半ごろだったから、半時間そうしていることになる、もちろん、時計がきちんと動いているならばの話だけど…壁掛けのアナログ時計には電波時計であるというシールが貼ってあった、体感的にも示されている時間と大きく違いがあるとは思えなかった、予定などなにもなかった、そもそも、どうしてそこに居るのかもまるで分らないのだから―そういったわけで、僕はトランシーバーがなにかを受信するのをずっと待っていたのだ、この片割れに呼びかけてくるのはいったい誰だろう?僕の知り合いだろうか?両親や兄弟、あるいは親戚の誰かだろうか?なぜかそうとは思えなかっ
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