平和主義者の丑の刻参り/ただのみきや
立ち位置を気にして
是とされる方を選びがちになる
プロの作詞家ではないのだから
大衆の心の的を射ることに
わたしの詩はほとんど興味を示さない
生の残余がどれだけにしろ
詩作は孤独でいいと思っている
好きなものを書くために
自分の好きを知るために
深海魚を水面まで引き上げれば
それは奇妙な比喩へと姿を変える
聖書の一行一句を神の言葉と信じている
プロテスタントのクリスチャンだが
わたしは「信じている」と言う
自分自身を全く信じていない
時にアニミズム
アルカイックな人々のように
万物を擬人化し
季節を女神と呼ぶ
樹木や花々を恋人のように
月や星や風
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