平和主義者の丑の刻参り/ただのみきや
や風を友達ように
突き詰めると詩作はわたしにとって
自己の快楽のために他ならない
詩の中で己を見失い
主義も主張もでたらめになる
性別や性嗜好も容易く踏み越える
主体であり客体であり
俯瞰であり近視眼である
現実は粗材でしかなくすべては虚構
イメージと音の響きにそそのかされた連続体であり
その嘘の中に真実が勝手に侵入して来る
読むことはジグソーパズル
誰かの言葉の絵に
手元に集めたピースを嵌めてゆく
言葉の字面の意味と
言葉を脱がせた裸の気持ち
汎用的手法と直観的認識
そうして埋まったピースもせいぜい半分
あとは想像と思い込み
そう勝手に楽しむこと
一人遊びができないのは不幸なことだ
百人に一人くらい
気に入ってくれても構わないが
それを知らなくてもいい
そのほうが自分の嗜好を具現化しやすかろう
記号遊びをまだやめたくない
《2022年4月10日》
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