詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一九年十三月四日 「断章」
喜びは孕み、悲しみは産む。
(ブレイク『天国と地獄との結婚』地獄の格言、土居光知訳)
きみはわが最上の歓びにして、いまはわが最大の悲しみ。
(シェイクスピア『ソネット』48、高松雄一訳)
二〇一九年十三月五日 「断章」
あそこにいる人間はばかなのか、
それとも恋をしているのか。
あんなにも悲しそうな、たのしそうな、
たのしそうな、また悲しそうな顔をして。
(ハイネ『セラフィーヌ』高安国世訳)
われわれをうたがい深くすると同時に信じやすくするのが恋の特性であって、われわれは愛するひとをむしろ他の女よりも早
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