詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
『地下室の手記』?・9、江川 卓訳)


二〇一九年十三月二十四日 「断章」


 私はふいに、はっきりした理由はわからないけれども、十年の間、自分を欺いていたことを知ったのである。
(サルトル『嘔吐』白井浩司訳)

 われわれにもっとも暴威をふるう情熱は、その起原についてわれわれが自分を欺いている情熱なのである。
(ワイルド『ドリアン・グレイの画像』第四章、西村孝次訳)

愛は何物でもない、苦悩がすべてだ
(ラーゲルクヴィスト『愛は何物でもない……』山室 静訳)

苦しみをこそ、ぼくは愛している。もう、きみなんか愛していない。
(デュラス『北の愛人』清水 徹訳)
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