詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
さくさえある。
(プルースト『失われた時を求めて』第六篇・逃げさる女、井上究一郎訳)

 愛が去ったとき、それはもはや愛として記憶されることはない。べつのなにかになってしまうのだ。
(E・M・フォースター『モーリス』第二部・24、片岡しのぶ訳)


二〇一九年十三月十九日 「断章」


記憶は、うすれるにしたがって、相手との絆をゆるめる、
(プルースト『失われた時を求めて』第六篇・逃げさる女、井上究一郎訳)
 
 私は、ジルベルトのために、ゲルマント夫人のために、アルベルチーヌのためにつぎつぎに苦しんだ。つぎつぎにまた私は彼女らを忘れ去った、そして異なるさまざまな存在にさ
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