詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
にささげられたただ一つの私の愛だけが持続したのだった。
(プルースト『失われた時を求めて』第七篇・見出された時、井上究一郎訳)
愛されることはほろびること、愛することは持続することだ。
(リルケ『マルテの手記』高安国世訳)
二〇一九年十三月二十日 「断章」
「そんなに、なげくのはやめようよ。
別な恋がまた ふたりをまっているのだよ。
そのときはやっぱり、かこち嘆くことなく、
憎しみつづけもし、愛しつづけもすることで──
永遠は、ぼくたちふたりのまえにあるのだ。
人間の霊は、愛情であり、不断の別離なんだもの。」
(イエーツ『{ルビ蜉蝣=かげろう
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