詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 

愛情深い人間なんてほんとうにいるのでしょうか。
(モーリヤック『ホテルでのテレーズ』藤井史郎訳)

人間が真実の相において愛することができるのは、自分自身なのであり
(三島由紀夫『告白するなかれ』)

 愛とはそれを媒体としてごくたまに自分自身を享受することのできる一つの感情にすぎない。
(E・M・フォースター『モーリス』第四部・44、片岡しのぶ訳)


二〇一九年十三月十八日 「断章」


 人が理解されようとねがうのは、愛されようとねがうからであり、人が愛されようとねがうのは、相手を愛しているからである。ほかの人たちの理解は問題外であり、そんな人たちの愛はうるさく
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