アルカイック・モノローグ/ただのみきや
 
ことかもしれないが
人のたましいとはそのようなもの
本来曖昧で空虚そのもの
だからこそ
人は分厚い外殻が欲しくなる
世迷言をつぎつぎと生やして
固く鋭く巡らせて
やがては兜と鎧
ゆるがない真理で理論武装を試みはするが
実感とか体感とかはしょせん曖昧な思い込み
分泌物の成せる業か
昂奮も覚めるとどこからか
スースーした不安が吹き上げて来る
たましいは空虚に過ぎないが
人は毬や棘で覆われた
殻の厚みこそがそれだと思うから
理屈を人にうまく説明できれば
とりあえずの安心を得る
言葉の上では不沈空母の如く
なのにいつもつかみどころのない
寒々しさは防ぎようもなく

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