はぐれものの夜/ホロウ・シカエルボク
 
きりのコースを疾走するドライバー、一瞬で後ろに過ぎ去った今日はペーパータオルのように消費される記憶、言葉を手繰るより他は無い者に課せられた使命は最早生き急ぐこと以外にはない、そうとも、進化しても進化しても出来ることは限られている、すべてのハードルを越えることは出来ない、選択したものだけがそこにはある、世界がどんなに広大でもだ―そうさ、限界を設けるなと言ったのは、それは予め設定されているものだからさ、個としての意識の限界、肉体としての限界、そんなものがあるのにわざわざそれ以上、なにかを課する必要などない、思う存分ぶちまけるのみさ、時折俺は、ヒトの細胞の数ほども言葉があればいいのにと考える、語り切れな
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