はぐれものの夜/ホロウ・シカエルボク
れないものの為に、表し切れないものたちのために、ヒトの細胞ほども言葉があればいいのにと思う、でもそれは限られている、だから自分で作り上げるのさ、組み替えたり、逆の意味のために使ってみたり―繰り返しやり直し更新し組み直して新しい言葉に辿り着くんだ、指先が動かなくなるまでそれは続くだろう、そしてきっと、死んでからもそいつは続くかもしれない、輪郭のない世界こそが、人間を高みへと連れて行くんだ、さあ、そろそろ目を閉じろ、少しばかりの眠りに落ち込むがいい、もうすぐ夜明けが来る、はぐれものの夜は、ろくに間も取らずにここを訪ねてくるだろうさ。
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