季節の中のシルエット/番田 
 
はその枝に色や模様をつけないままで風に吹かれているように見えた、色あせた標識の記憶に残っていた形状であるように思える、ラブホテルの空間の手によってほどこされたセメントの模様のような渦を巻いている。そうしていたことを考えていると、先日の地震の記憶が蘇り、恐怖心に打ち震えていた午後の日差しは何も意味を持っていない若い頃に見ていた路地の景色みたいに見えた。僕は何かを知っていくのだろう、趣向によって、味や色、形を、海の青さや香りを、感じ取ろうとすることで歩いていく、道のように思っている。


日々は何も残すこともなく過ぎていくようだった。何か薄い色だけを感じ取っているように思える、池袋の人の溢れ出し
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