バウンドの世代/ホロウ・シカエルボク
 
た紙が指先の皮膚を食って血が滲む、それでもページを捲ることはやめられないのだ、指先の痛みよりもずっと、拭わなければならないものを僕らは抱えている、それでも図書館を追い出されるときはやって来る、空気が人を拒み始める時間というのが必ずある、僕らは荷物を手早くまとめ、気に入った本を手に取って出て行く、貸し借りの手続きは必要ない、だって受付に誰も居ないのだから、勝手に借りて、勝手に返しておけばいい、本質を見失わなければシステムは生き続けるものだ、青過ぎる街灯の下で熱を求め過ぎた蛾が激しく燃えている、悲鳴を上げられないというのは悲しいものなのかもしれない、彼らの死はあまりにも無機質に見える、電池の切れたデジ
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