バウンドの世代/ホロウ・シカエルボク
生まれる風が僕らを虜にする、曖昧でかたちのない感覚こそが一番確かなイメージを与えてくれる、本当の神様はそこに居る、信仰も教義も要らない、そんなものとは無関係にただそこに居る、入口になり得る言葉を探して、閉鎖された図書館で国語辞典を読み漁る、電気が止められているせいでそれにはとても時間がかかる、見つける、という行為の本質は、自分の中にあるものと外にあるものとの質のいい調和を得るというものだ、僕らはそうして魂の水かさを増やしていく、そうして浮かび上がるための水面が上昇し、苦労してまた浮かび上がると新しい景色が見える、人が訪れない図書館は人間の脳味噌だけをたくさん詰め込んだガラスの瓶に思える、変質した紙
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