熟れた瓜ことばに固い貝ことば/ただのみきや
の尻尾}
きみはぼくの思考を十分一以下に減らしてしまう
いかがわしい儀式をこっそり覗き見ているよう
喉は乾くが唾液はたまり心臓は溺れそう
一番底の深い闇から一匹の蛇が孵り下腹部を這い上がる
きみの手はたぶん冷たい
灼熱の中の逃げ水のようにわたしを瞑らせる
きみの声は口移しの夜
釣針のように返しが付いて死の歓喜への震えを宿す
ぼくはきみの腕を結びたいのかほどきたいのか
クローゼットに閉じ込められた幼い二人
闇に溶け混じる囁きに肌はふるえ
意図しない琴を響かせた
きみが古の死者であったらと思う
この瞬間までのぼくを相殺し得るほど
きみはぼくの隠匿された欲望のそのものだから
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