熟れた瓜ことばに固い貝ことば/ただのみきや
 
から





警句キック

起きていることはみな事実
語られることはみな眉唾
きみがキラキラしてるのは
ぼくの食べたキノコのせい





中心にアウトサイダー

背骨に滴る音楽に
こじんまりした笑いを売った
さる三月の水曜日
焼けた爪にミミズクを放つ夜は柔らかく
毛深い言葉を吐きもどす
おまえの目と耳が食み尽くして洞と化した時間
拭えない五感のもつれの付箋と破線
切ったか蘭を死姦だったか
罪も意味もない真珠がとぷんと落ちて
胃酸はきらめいた
首を斬られた雄鶏の羽ばたきみたいな破顔
バハマからハバマそして
スプリングロール・チャイニーズオムレツ
きみの記憶の裂け目に捻じ込む
舌と耳の交尾――夜明けの万華鏡



                 《2022年3月12日》








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