縁は異なもの/板谷みきょう
 

日本の土を踏んだけれども
言葉も通じない
環境も習慣も違う日本に来て
彼は激しいホームシックに
なってしまったと涙ぐむ

見ると二人とも
瞼が腫れあがっている

「ボクは明日
この店で歌う予定の者ですが
袖すり合うも他生の縁
何の足しにもならないでしょうが
お二人の為に
今ここで唄を歌います。」

そう言ってギターを弾き
心を込めて二曲唄い
「苦あれば楽あり
今は、ボクが想像出来ない位に
大変な状況なのでしょうが、
頑張って下さい。」と
付け加えた

彼女の通訳で彼が
『何を歌っているのか
意味は解からないけれども
貴方の気持ちは伝わりまし
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