女の寝顔/花形新次
 
真夜中の2時過ぎに
リヴィングで物音がするのに
気付いた
隣の女は小さな寝息を立てて
起きる気配はない
俺は女を起こさぬように
静かにベッド脇のデスクから
コルトを取り出すと
リヴィングに通じるドアを開けた
リヴィングのテーブルで
一人の大柄な男が
イスに座ってピザを食べていた
「こんな時間に何をしている!」
俺が問い質すと男は
「んなあー」と奇声を発して
別のドアに向かって走り出した
テーブルには男の残したピザの残骸が散らばっていた
それを片付け終わると
俺は男が逃げ込んだ部屋をノックして
中に入った
男は既にベッドに潜り込んでいた
「ジミー、腹が減った
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