寺山修司フェア(ハルキ文庫)/藤原 実
塔における悲劇的孤立のうちに、詩が単に詩であることを目標として、練金の秘術をこらすようになる。ロマンチズムがこのような詩を合理化したが、創造とはもっぱら個性に帰せられるものの名となり、詩人は天才であり光栄ある孤独者であるという意識を生み、個性の演戯者として社会のおきての外に位置するものとなった。到達するところは、詩人の独善意識、詩の伝達機能の停止とである。 (「抒情詩の運命」)
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山本は人麻呂や芭蕉が示した多様な詩の可能性をその後の日本の詩の歴史が切り捨て、作者の「私」という自己閉鎖的なモノローグの世界を磨き上げることに専念することによって、画一化し単調化していったことを指摘しま
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