寺山修司フェア(ハルキ文庫)/藤原 実
 
未完成な印象もうけますが、それも「らしい」といえばらしいのではないでしょうか。




二十才 僕は五月に誕生した 僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみるいまこそ時 僕は僕の季節の入口ではにかみながら鳥たちへ手をあげてみる二十才 僕は五月に誕生した         (『五月の詩・序詞』)



同じ“寺山修司フェア”からもう一冊、


   寺山修司『啄木を読む---思想への望郷・文学篇』(ハルキ文庫)


寺山修司に言わせれば啄木の歌は『あくまで「人を愛する歌」ではなく「われを愛する歌」であった。そして、啄木にとっては妻も、母も、ただの「生きた玩具」であ
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