寺山修司フェア(ハルキ文庫)/藤原 実
多ジャンルにまたがる本は非常に不利だ」
と寺山は友人に語ったことがあるそうですが、今読むと寺山修司の出発としてこれほどふさわしいカタチはなかったのではないか、と思わされます。
文学は創作性の芸術であり、僕には文学における「まことの花」は考えられない。十代には十代の、三十代には三十代の、六十代には六十代の「時分の花」だけがあるのだ。 (「森での宿題」)
世評定まった感のある短歌はべつとして、詩などは露骨に谷川俊太郎風や北園克衛風であり未完
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