美化推進委員会/ただのみきや
しかし女は行ってしまう
いつも来る時と同じく唐突に
いつの頃からか男が現れるようになった
時折あの女と抱き合い唇を重ねている
鏡はただ見続けることしかできなかった
やがて鏡の目はだんだんと曇り
しまいになにも見えなくなった
するとより一層
目の前の光景に総身がそばだって
その冷たい双子の片割れを宿すのだ
波紋ひとつ立てられず
ありのまま そのままに
人形
その人形には沢山の姉妹たちがいた
みな同じ顔で美しく仕上げられていて
特にその目は艶やかで瞳や睫毛まで
細かく描き込まれていた
傍からは見分けがつかなかったが
その子だけが盲目だった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)