美化推進委員会/ただのみきや
 
度に溺れ
重なり合う影のよう
段差もなく歪みもなく
互いを身ごもって
混濁に明け暮れて

淀みなく弓を引く
暗い朝に自らひらく
海沿いに幾重もの
風の羽衣はためいて
花房の真中
円く結ばれる
わたしはとける光

雪が出来事を覆う前に
水面の輪郭をなぞろうとした
忘れるより早く
世界の果ての壁を触ろうとした
小さな光のテントの中に
主観的事実だけがあった
孤独の肌はとてもなめらかだ





盲目


鏡は恋をした
いつも金魚のようにひらひら近づいて
自分を覗き込む女に
時にはキスされるかと思うくらい顔を寄せて来る

[次のページ]
戻る   Point(2)