vagabond/ホロウ・シカエルボク
 
どこかの店の裏からどぶ鼠が駆け出していく、太り過ぎた猫がきっと逃げられるだろう追跡を続けている、路駐した車が風の日のゴンドラのように揺れている、中でなにが行われてるかなんて確かめてみるまでもないさ、見るもおぞましいエンターテイメント、安易さだけを追い求めるやつらは醜さに気付けないものだ、口をついで出た鼻歌はディランだったような気がする、疲れ果てた売春婦がアパートの玄関口で死んだように眠っている、そのすぐ近くのナイトクラブの窓からは、プレスリーがのどかな時代の反抗を歌っている、ロックンロールは死んでしまった、そんなことを言ってるのはいつだってただのオーディエンスだ、自分の力でその先を見ようとするもの
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