詩の日めくり 二〇一九年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
は大臣で、本を王に贈ったのだが、将軍は敵方の大臣のスパイだった。ぼくが本を送ったことを敵の大臣に報告するために水上をすべる板に乗って進んでいたのだが、うしろから長い棒状のものでつつかれ、怪物に肛門から突き刺され、棒がいったん口から突き出て、それが引き抜かれると内臓が背後に走り、つづけて棒でぐちゃぐちゃにされて、顔面から上半身、下半身と削りとられ、水上に肉と骨が落ちて行った。無邪気な愛玩動物が、女性の将軍のまえを板に乗り走っていて、敵の大臣のところに先についたのだが、大臣と取り巻き達はどうしたんだ、なぜおまえが先に到着したんだ、と騒いでいると、血まみれの板が大臣のところに運ばれて、女性の将軍が無残な
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