詩の日めくり 二〇一九年六月一日─三十一日/田中宏輔
があるのかないのか棚を探すのもけっこう面倒なことなのだ。もうひとりのぼくは、CDを売りに行っていたのだ。しかし、ぼやいても仕方がない。もうひとりの自分も自分なのだから。
二〇一九年六月十四日 「考察」
悲しみが物質のようなものだとしたら、こころが2倍ひろくなれば、悲しみの濃度は半分になる。なるべくひろいこころを持てば、悲しみの濃度はかぎりなく薄くなる。無限の大きさのこころを持てば、悲しみはゼロになる。ゼロになるはずだけれど、悲しみの総量は変わらない。そうか。それで、こころのひろいひとは、感情に振り回されることがないんだな。ぼくみたいに感情に振り回されっぱなしの人間のこころは、
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