重度のシンコペーション/ホロウ・シカエルボク
チンの窓からは果てしない稜線とその上に広がる薄曇りの空が見える、世界がいつでもそれだけのものであればいいのにな、けれど気が狂いでもしない限りそんなものは手に入れることは出来ないだろう、だから無性になにかを書きつけたくなるのかもしれない、椅子に腰をかけていたが実際に行われていたのはなにか違う出来事だった、でもそれはおそらくどんな努力をしても現実的な認識として語ることは出来ないだろう、人生の終わりまでにはまだ長い長い道のりが続くのだ、ねえ、混沌には正解が無い、そのまま描かれる以外にはね―だから人生は愉快で、実りが多い、したり顔のシンプルな話なんか信用しないことだ、本当のシンプルさとはカオスの極限にある
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