ラジオ切腹/ただのみきや
易に転倒して
氷の向こう
切るような君の永遠
自己犠牲
他の鳥が産んだ卵を
知ってか知らずか育てる鳥の
本能に根差した行為に対し
憐憫や嘲笑を投げ与える人は多い
だが自分の生活をも倒壊させるほど
ひた走る自己への傾斜を
人や物事への強すぎる執着から生まれた行為を
自己犠牲と呼び馴らす人もいる
理想の冠を被せ
理屈の鎖帷子を編んで
情緒的宝石で飾り立てた
卵がいつまでも孵らずに(むしろその方が好ましいのか)
卵のまま愛情を吸い続けて肥大し
すでに中身が腐敗していたとしても
奇怪な妄想が芽生え成長し
もう一つの頭部を形成して
願望の
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