ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
 
左目からもの凄い血を吹き上げながら仰向けに倒れているのは、いままで見たこともないような小奇麗な格好をして、明るい色に髪を染めたアビーだった。


アビーの持っていたバッグには遺書があり、すべてに失望したと書かれていた。当然俺は疑われたが、引鉄が明らかにアビー自身の手によって引かれたことが分ると疑いは晴れ、また、俺や彼女の両親から事情を訊くにつれ、ある程度のことが把握出来るともう俺のところにはやって来なくなった。それから俺は診てもらう項目が増えひと月ほど入院したが、それからはびっくりするくらい良くなって退院した。そのまま仕事場に顔を出すとみんな喜んでくれた。俺は知らなかったが、毎日誰かしらが見
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