ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
安静にしていてもらうための処置でもある。君はどうしてここに居るのかも分っていないはずだ。心苦しいが、少し強引に進めさせてもらったよ。」
俺は何も言えず、頷いた。自分の身に起こっていることが理解出来なかった。連絡しておきたい家族は居るか、と聞かれ、居ない、と答えた。それから俺は監視カメラのついた部屋へと連れて行かれた。精神科の医者を紹介された。優しい笑みの、ソフィー・マルソーを思わせる女医だった。大丈夫よ、ここに居れば悪いことは何も起こらない。微笑むだけでそう患者に伝えることが出来る技術の持主だった。俺は安心した。腕になにかが打たれた。俺は急速な眠りの中へと落ちていった。
目が覚めると、俺は
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