ポケットには丸めた鼻紙だけのくせに/ただのみきや
々しい呪詛の群れも
門前で確実に見失うだろう
裏切られることのないただ一つの約束
まるで婚約者のよう
わたしの未来は死と共にある
関係性という仮象
きみの嘘が睫毛のようにわたしをくすぐるから
ネクタイから色とりどりの錠剤が零れ落ちたのだ
床にはリズム アンチ・リズム 雨の踵
ダイソンは大蛇みたいにきみの下半身を吸い込むと
忙しい朝のひと時を激しく浮き沈みした
観葉植物の鉢の陰に一通の封書がある
未来とはたった数行で韻を踏むもの
それぞれ比喩を読み解いて
あの逃げ回る一匹の猿を相殺するために
子どもを持たない二人は何を生贄にするのだろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)