ポケットには丸めた鼻紙だけのくせに/ただのみきや
過去仙人
矮人(こびと)の憂いがひねもす事柄を脱ぎ
散漫な冬の陽の
様を呈するてにをはの
花に埋もれた観覧車
息せき切って鶺鴒の
歌う光に影はゆれ
今際を際を夢見た道で
時間稼ぎに売ったもの
裸眼の兎と神の贄
さめる子ねる子まむしのすもも
バーボン飲む子は箱に詰め
宅急便で送ります
一所懸命しゃがんで哭いた
スマトラ行きの空の下
砂糖仕掛けのラジオから
白骨美人が舞い踊る
ささやく鈴のアンクレット
言葉こぼれる百科全巻
総身に括り波間に消えた
ラムネの目をした軍人もどき
鯨の歌か孔雀の夢か
《2022年2月5日》
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