詩の日めくり 二〇一九年四月一日─三十一日/田中宏輔
くなるで。」と言ってから、ぼくは、大谷くんに、「その山田さんて、何者?」って訊くと、「いつも行く居酒屋さんでしょっちゅういっしょに飲んでる、元ヤクザの人なんです。」「へえ、その人、いいひとなんやなあ。」と、ぼくが言ったら、「いまは、いいひとですよ。」「その飲み屋って、どこにあるの?」「ぼくの住んでるマンションの前。」「どんな店?」「食べ物、なんでも300円なんですよ。」「へえ、おいしいの?」「おいしいですよ。」「そやけど、そのひととの関わりなんて、なんか、青春モノの映画みたいやなあ。いや、人生が映画のようにすばらしいのか。うん、人生は映画のようにすばらしい。あるいは、映画は人生のようにすばらしい、
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