泥棒する青空/ただのみきや
 
のラジオからビートルズで折ったヤッコサンが垢こすりで
ことばの巨石を磨いていたが自らの粉塵化に気付かないまま
記憶という記憶の遠景から消失していった 誰もが紫色の病を着て
時計の臓器を量り売りにする貧民のすり鉢状の食卓には鶯の嘯く季節
恥部の在処を記した千切れた地図が花びらのように舞っている
約束を売るセールスマンは野戦病院でカバを踊らせて自称識者の
万華鏡の中のわたしたちのマスゲームを美しい夢を見させてくれる
珊瑚色の蠍として排水口で増殖させることに微笑みを添付した
未会計の教育理念が腹痛を理由に筋道を捏造し妊娠した林檎たちを
一斉に樹から揺すり落とす すると泣いている傍観者た
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