稜線/山人
中斜面になるが再び急登が待っていた。そこを抜けるとようやく稜線に着いた。
握り飯の具は、鮭そぼろ・タラコ・筋子であった。梅干を期待したが、外れた。その他、ラスクとバナナが一本入っていた。他に自分でもパンをいくつか持参したが、食すことはなかった。
こんな好天に関わらず人は皆無だ。もっとも人が入らないコースでもあり、平日ということもあろう。昨日の雪と風で、雪には風紋が見られ、ブナには樹氷が見られた。そして、太陽光線に照らされた雪の結晶が数えきれない宝石のようにきらめいていた。苦痛を伴い、我満を繰り返し、一歩一歩登ってきたのだが、それに見合う褒美を私に与えてくれた。厳しかったが、ほんとうに来てよ
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