思い出のフラれ女/板谷みきょう
んないオンナ?
違うでしょって言うの。」
相槌も
返す言葉も空回り
ボクは、黙っているしか
術が無かった
紅い耳朶に
揺れるイヤリングを見ながら
ほろ酔いの振られ女の
慰め方なんて考えて聞いてたら
「アタシさぁ。
不感症なんだって。」
唐突に彼女が言う
『それはきっと、自己快楽に対して
不安や恐怖感、罪悪感を抱いてるからか
彼氏が乱暴だったり
もしかしたら
下手だからじゃないの?』
そう言いかけたボクは
それらの言葉を飲み込んで
『そんなことは、無いと思うよ。』
そう言った
「そうなんだって。
だって、アタシ気持ち良いっ
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