Through the Past, Darkly/ホロウ・シカエルボク
街ではない街、どこでもない場所、人ではない人―みんなそんなものが恐ろしくて手ごろなスペースに滑りこむ隙を探す、俺はそんなものに興味はなかった、だから、人ではない人になった、それで良かった、俺が興味を抱いているのはいつだって、俺がなにを見、なにを感じ、なにを取り入れるかというそれだけだった、そしてそれをこんな風に、雑多なイメージとしてまとめてみることだけが唯一の楽しみだった、だからさ、と悪魔は思考に割り込んでくる、「だから俺はお前のところに来ることを止められないんだよ」それはある意味で契約なんだ、と悪魔は続ける、契約、という確固たる状況を示す言葉に、ある意味、という曖昧な表現をくっつける、それがこい
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