Through the Past, Darkly/ホロウ・シカエルボク
 
こいつの品ってやつだ、俺は思わず吹き出してしまい、悪魔は満足げにふんぞり返る、俺たちは肩を組んで裏路地から出る、たまたま出口で生き合わせた老人が、俺たちを見て腰を抜かし、失禁しながら失神する、世界は今日も平和で、あらゆるものが壊され、あらゆるものが作り変えられる、ほとんどの営みは掃いて捨てる塵のように消化され、明日同じことがあると気づかれないように徹底的に消去される、俺はそんなシステムのことを思い、冬のせいではない寒気を感じる、悪魔の体温を右側に感じながら、家に帰ったらもう一度コーヒーマシンに働いてもらおうなどとぼんやり考えていた。


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