Through the Past, Darkly/ホロウ・シカエルボク
取り壊され続けている古い住宅街がある、壁や、基礎だけを残した家屋の跡が、雑草に抱かれながら新しい世界を待ち続けている、いわゆる再開発をするために取り壊しているらしいが、何軒かの家、あるいはある地区がごねているせいでなかなか進まないという話だった、そういう少しややこしいところだから、あまり立ち止まって眺めていたりすると少し面倒なことになる、だから、いつだって俺はただの散歩コースですという顔をして通り過ぎる、そこに来ると悪魔は決まって俺の肩をぽんぽんと叩き、お前とこことどれくらい違うんだ?という問いを手のひらで喋る、例によって俺は無視する、それはいつだって俺の疑問符を代弁しているに過ぎないからだ、街で
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