Through the Past, Darkly/ホロウ・シカエルボク
 
ない、もちろん俺だって、もしか本当にまずいことになるとしたって、誰かに言われるままに壺を買ったり写経をしたりなんてやりたくもない、そんなものは仕事前の朝礼と同じで、ただの気分的なものだ、実際の効果のほどなんて誰にも分からない、そうだよね?コーヒーマシンを使うようになってから、自動販売機で飲物を買わなくなった、きっと喉が満たされているのだ、あの、コポコポコポと小気味よい音をたてる蒸気が、俺の腹の中で犬のように駆け回っているのだろう、俺は裏路地に入り込む、単純に散歩するにはそっちのほうが適しているからだ、前からも後ろからも、誰がやって来ることもない…首から下だけの悪魔以外は―この路地には数年前から取り
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