海底でみた風景/秋葉竹
 
流れておくれ
やましい自死を願う疾病だけを
胸の奥に封じ込め
届いておくれ
届いておくれ

まるで真っ白な罪のない世界に
変わりたがっているのか
逡巡する騒がしげな希望たちは
嫋やかなキツネのお面をつけて

透きとおりながら
夜目にも鮮やかな絶望の黄色みたいに
心をひとつ狂わそうとする
たったあれっぽっちの
短いありきたりな言葉で



死ナセテ、オクレ



恐れて
そして死にたくなってしまう
溺れて
そこにはかつて嘲笑ったじぶんが
両足にしがみつき私を殺そうとする

無音の深海の海溝の底にある
うち捨てられて怯えている
過去の私の恥
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