まずは釘で傷をつけてから/ただのみきや
 
マッスを切り出して
さらに純化して抽出しようとする
此岸彼岸を行き来して
創作という神の真似事に
うつつを抜かしている

ぼた山を掠めて射し込む
落日の餘光(よこう)に生の苦楽を讃えつつ
紡がれては編み上がる
暖色情緒の柄模様から
こぼれ落ちての神隠し
人が夢の中で見て忘れている土地を
目覚めたままで徘徊して
金が欲しいと言いながら
金にならないものにしか
のめり込んだことはなく
遊びのために生まれて来たと
思えばあきらめもまた楽しい





ことばのためのことばたち

指先は瞑る
ふれる場所から汚してしまう
分裂の祈りにも似た片
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