まずは釘で傷をつけてから/ただのみきや
 
た片言の墓場で剥製となって

春の蕾の中 羽衣は嫋々(じょうじょう)と
一点の深く濃い喪失を追いかける
杖をついた男の死と腐敗と白骨化

ことばの上にそっと乗せられた
気持ちの震え
花に止まった蝶を掌で包むように

水面の月のようにじっとしない
女が揺れているのか映すわたしか揺れるのか
酒瓶よりも青く揮発したこころ



                   《2022年1月9日》








戻る   Point(4)