詩の日めくり 二〇一八年十三月一日─三十一日/田中宏輔
だれひとり、引用のみによる詩をぼくがつくった動機について
このように考えたひとはいなかったけれど。
いま、ぼくは、「わたし」とは、形成力としてのロゴスであると思っている。
意味形成という側面からだけではなく
意味の希薄な情景や情感の形成にもロゴスが関与していると思っている。
このときのロゴスとは、引力のようなもので
引き付け合う力である。
もちろん、これは何も新しい考え方ではなくて
ソクラテス以前のギリシア哲学にあるもので
「何を、いまさら」というものであるが
「何を、いまさら」ということをはっきり検証したのが
引用のみによる詩であった。
ふつうの書
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