詩の日めくり 二〇一八年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
太くって長くって
たくさんで、びっくりした。
ぼくのは、包丁だったけど
その子のは、包丁とは思われない太さだったから
あれは、なんで切ったんやろうか。
登山ナイフか何かかなあ。
包丁とは思われない太さの傷痕やった。
でも
その男の子
顔はかわいくて
体格もよくって
女の子にもモテル感じやったから
なんか
こころのなかに持ってるんやろうね。
ぼくが彼の左手首の傷痕を見てから
ぼくとその子は
ぼくが大国で買い物をするたびに
何度も見つめ合ってるんやけど
言葉は交わせられへんね。
きっと、ずっと。
言葉を交わしたら、アカンよ
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