詩の日めくり 二〇一八年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
水域などの渦中に
引きずりこまれて、透明なもの、簡単なもの、扱いやすいものは跡形も
なくなる。

 一年まえまで付き合っていた恋人とは、5年くらいのあいだ付き合って
いたのだが、それまで付き合っていた恋人とは違って、ほぼ毎日会って
いた。付き合って3年目くらいかな。それまでに見たことのない表情で
ぼくを非難したことがあって、びっくりしたことがある。でも、それが
きっと、彼についてのイメージのなかで、ぼくの持っていなかったもの
だったのだろう。
 ぼくの持っていた、彼についてのイメージ。ぼくの自我の範囲のなか
で形成されたイメージ。ぼくの自我が推測して形成し
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