詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
らゆるすべての実相を眺めるがいい。
さあ、急ごう。
煉獄の道行きがもっとも長くかかるのだ。」
ぼくの足は、ディッシュの後にしたがって
狭いけれど、車が頻繁に通る道を歩いた。
二〇一八年十二月十八日 「Your Song。」
「波のように打ち寄せる。」という言葉を
「彼のように打ち寄せる。」と読んでしまった。
寄せては返し、返しては寄せる彼。
目を開けているからといって、見えているとは限らない。
むしろ、目を開けているからこそ、見えなくなっていたのだ。
彼はまだ、わたしのこころのなかに
喜びとして存在し、悲しみとして存在している。
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