詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
、そんなにも不注意に歩いていられたのだろう。
車が、お前を撥ね飛ばすような危険な道を。」
「それで、なぜ、ぼくを迎えに来られたのですか?」
「天国に行くためだ。」
「自殺した者は、天国に行くことはできないと聞かされていましたが?」
「いや、違う。
自殺した者だけが天国に召されるのだ。
地上の生活で苦しみ
自ら命を絶った者だけが天国に行くのだ。
自然死をした連中はふたたび生を授けられるのだ。
来世で自殺するまで。」
ぼくは、なにがなんだかわからなかった。
わからなかったけれど、このことだけは確かめておきたかった。
「それでは、あなたは天
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)